こんにちは。甘鯛です。
今回は「米国株高配当ETFの中からSPYD・HDV・VYM・VIGの比較」がテーマです。
本記事は以下の読者様の課題解決にお役立てできる内容になっております。
・それぞれのETFの違いがわからない、
・結局どのETFを選べば良いか教えてほしい、
私自身、株式投資を開始して間もない頃には「高配当投資=不労所得」のイメージが先行して、
高配当株式への投資がベストと極端な考え方をしていた時期がありました。
また、当時の私は「高配当投資=個別株投資」の考えが染み付いておりETFのように、
複数銘柄に分散が効いた、利便性の高い投資対象の存在を知りませんでした。
個別株投資と異なり分散投資が可能で、インカムゲインを効率良く獲得して上で、
本記事で取り上げる4つのETFに関しては長期投資を前提にすれば、いずれも魅力的な投資対象。
本記事では、SPYD、HDV、VYM、VIGについて各所より掘り下げて解説を進め、
それぞれのメリット・デメリットを整理していきますので、ぜひ投資判断にお役立てください。
結論:分配益を最優先→SPYD、分配益+値上がり益のバランス重視→VYM
早速ですが、本記事の結論から!
・分配益+値上がり益のバランスを重視する方には、VYMがおすすめ
・値上がり益+おまけ程度の分配益を獲得していきたい方には、VIGがおすすめ
各々のETFに求める要素やその度合いによって判断は異なりますが価値基準を大別すると、
株式の値上がり益(キャピタルゲイン)、分配益(インカムゲイン)の2つの観点があります。
4つの類似するETFの内容を踏まえ、結論を導くと上記の通り。
以降では、各所よりSPYD、HDV、VYM、VIGの詳細を確認していきます。
SPYD・HDV・VYM・VIGの概要比較
ここでは、SPYD、HDV、VYM、VIGがどのようなETFかを解説。
それぞれの概要は以下の通りになります。
ティッカー | SPYD | HDV | VYM | VIG |
正式名称 | SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF | iShares Core High Dividend ETF | Vanguard High Dividend Yield ETF | Vanguard Dividend Appreciation ETF |
運用会社 | State Street Corporation | BlackRock, Inc. | The Vanguard Group, Inc., | The Vanguard Group, Inc., |
ベンチマーク | S&P 500 High Dividend Index | Morningstar Dividend Yield Focus Index | FTSE High Dividend Yield Index | Spliced S&P U.S. Dividend Growers Index |
投資企業数 | 約80社 | 約70社 | 約400社 | 約260社 |
主力セクター | 金融、エネルギー、公益事業、不動産 | エネルギー、ヘルスケア、通信、生活消費財、テクノロジー | 金融、生活消費財、ヘルスケア | 資本財、生活消費財、ヘルスケア、テクノロジー、金融 |
割合方式 | 均等分散 | 時価総額加重平均 | 時価総額加重平均 | 時価総額加重平均 |
設定日 | 2015年10月 | 2011年3月 | 2006年11月 | 2006年11月 |
運用総額 | 47億$ | 71億$ | 380億$ | 596億$ |
分配金利回り | 約6.11% | 約3.28% | 約2.45% | 約1.61% |
経費率 | 0.07% | 0.08% | 0.06% | 0.06% |
特徴 | S&P500高配当上位80銘柄(SPYDには不動産領域を含む) | 財務の健全性、 配当利回りの高い企業 | 収益安定の 大型銘柄 | 10年以上の 連続増配実績の大型銘柄 |
中でも、SPYDではベンチマークのS&P 500 High Dividend Indexの指針として、
S&P500の企業群の中で、高配当企業のうち上位80銘柄の配当金をもとに組み入れ比率を算出。
簡潔にいえば、他3ETF以上にSPYDは高配当(分配金)に重きをおいた設計になっています。
また、VIGは連続増配がコンセプトのETFですので、分配金利回りを他と比較すると低め。
上位組み入れ企業比較
SPYD、HDV、VYM、VIGの上位組み入れ企業については、以下の通り。
4ETFの上位組み入れ企業の比較から、おさえておくべき要点をまとめておきます。
・SPYDは、他ETFと比較するとお馴染みの企業が少なくほぼ均等比率
・VIGでは、連続増配企業を対象とするETFでありながら値上がり益を狙える銘柄が多い
SPYDは高配当企業への投資にフォーカスしており、対照的にVIGについては、
配当は副産物程度(連続増配企業で構成)で値上がり益を獲得できる企業群が多いのが特徴です。
類似する4ETFですが、構成企業を確認していくとそれなりにギャップがあるのは興味深いところ。
セクター配分比較
SPYD、HDV、VYM、VIGにおけるセクター配分をチェクしていきます。
SPYD | 比率 | HDV | 比率 | VYM | 比率 | VIG | 比率 | |
1 | Utilities | 18.14% | Health Care | 24.22% | Financials | 21.70% | Information Technology | 19.90% |
2 | Financials | 16.43% | Energy | 22.33% | Consumer Staples | 13.40% | Industrials | 14.90% |
3 | Energy | 14.41% | Consumer Staples | 16.45% | Health Care | 12.80% | Financials | 14.60% |
4 | Real Estate | 13.95% | Information Technology | 8.88% | Industrials | 9.60% | Health Care | 14.40% |
5 | Consumer Staples | 10.35% | Utilities | 7.80% | Consumer Discretionary | 8.10% | Consumer Staples | 14.10% |
6 | Health Care | 9.89% | Communication | 5.91% | Energy | 8.10% | Consumer Discretionary | 11.30% |
7 | Materials | 6.37% | Financials | 5.14% | Utilities | 8.00% | Materials | 5.20% |
8 | Communication Services | 5.82% | Consumer Discretionary | 2.72% | Technology | 7.70% | Utilities | 3.20% |
9 | Information Technology | 2.45% | Materials | 1.93% | Telecommunications | 6.40% | Communication Services | 2.40% |
10 | Consumer Discretionary | 1.16% | Cash and / or Derivatives | 0.25% | Basic Materials | 4.20% | ー | ー |
各ETFのセクター配分を踏まえて、ポイントをまとめます。
・HDV・VYMでは景気に左右されづらい生活必需品、ヘルスケアセクターを多く含んでいる
・VIGについては、S&P500やVTI(全米株式)と組み入れセクターで大きな差がない

特筆すべきは、SPYDには景気が弱い局面でとりわけ影響を受けやすいセクターである、
金融、不動産、エネルギーセクターを約45%を含んでいること。これらのセクターについては、
高配当企業が多い一方で景気に敏感でシクニカルな側面をがあることを把握しておきましょう。
【投資家必見】VTIをわかりやすく解説にて、VTI(全米株式)について詳細を解説。
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共通するところ・異なるところがありますので、ぜひご理解を深めてくださいね。
SPYD・HDV・VYM・VIGの投資メリット
SPYD、HDV、VYM、VIG投資における相対的な投資メリットを簡潔に整理していきます。
- SPYDの投資メリット
4ETFの中では最も分配金が大きい(約4.5%〜6%)。
S&P500の中でも高配当銘柄に絞って分散投資が可能。
高いインカムゲインを重視する方におすすです。 - HDVの投資メリット
4ETFの中では投資対象が最も少ない約70の投資対象で、
米国のモーニングスター社により財務の健全性にフォーカスし厳選。
セクター配分のバランスが良く偏りが少ないのが特徴です。 - VYMの投資メリット
4ETFないで個人的には1番おすすめになります。
インカムゲイン+キャピタルゲインのバランスに優れているからです。
SPYDやHDVほどの高い分配金は期待できませんが、値上がり益が望める構成。 - VIGの投資メリット
10年以上の連続増配をしている大型銘柄が対象。
4ETFないで最も景気敏感なセクターを含んでおらず、
着実な株価成長と”控えめな”配当(分配金)が特徴のETFになっています。
SPYD・HDV・VYM・VIGの投資デメリット
SPYD、HDV、VYM、VIG投資における相対的な投資デメリットを簡潔に整理していきます。
- SPYDの投資デメリット
上述の通り、景気敏感セクターを多く含んでおり不景気時には影響を受けやすいこと。
2020年3月末のコロナショック時には、コロナショック発生からそれ以前の最高値までに、
要した回復期間は4ETFの中で最長の約11ヶ月。高配当が魅力の反面として要チェックです。 - HDVの投資デメリット
4ETFの中で最も堅実な銘柄選定をしているものの分散性がやや欠如していること。
分配金は悪くはないものの後述する株価の値上がり益は3年、5年ではワースト。
同様に3年、5年で他3ETFと比較したトータルリターンにおいても最下位となっています。 - VYMの投資デメリット
分配金が約2.5%〜3%の水準で推移していることから、SPYDやHDVと比較すると、
配当率にやや物足りなさを感じる印象。ただし、構成セクターの偏りが少なく株価が、
堅調に推移していることや連続増配を着実にクリアし続けているので課題は少なめです。 - VIGの投資デメリット
対象が10年以上の連続増配企業であり、分配金が約1.5%〜2%と配当率が低いこと。
しかし、VYM同様に、連続増配をクリアし続けていることに加えて、
組み入れ企業群のさらなるキャピタルゲインの向上には期待ができます。
パフォーマンス比較
ここではSPYD、HDV、VYM、VIGのパフォーマンスについて、
キャピタルゲイン(株価の値上がり益)とインカムゲイン(分配金利回り)の点から比較検証。
以降は本記事執筆時点の数値で収集のタイミングで異なりますので、その点をご了承ください。
キャピタルゲイン(株価の値上がり益)

上記は約1年のチャートになります。
直近では政策金利の引き上げ、長引くインフレ、緊迫するロシア・ウクライナ情勢などにより、
米国株に不利な状況が継続中。現段階でVTI(全米株式)の約1年の成長が約5%ですので、
SPYD約12%、HDV13%、VYM約11%、VIG約8%なので高配当ETE各種は善戦しています。

上記は約3年のチャート。
約1年と比較して綺麗に真逆の結果となっています。

約5年になるとやはり、キャピタルゲインの強いVIGが他を圧倒する結果。
VIG約85%、VYM約61%、SPYD約52%、HDV約47%とVIGとHDVの差は約38%です。
もちろん、分配金を再投資しても埋められるギャップではありません。

約5年でVTIを含め比較すると、わずかにVTIがVIGをアウトパフォームしています。
いずれにしても、株式投資において年平均リターンが約5〜7%といわれる中で、
全てのETFの堅調な株価推移に加え分配金がしっかり発生することを考慮すれば十分な結果。
私自身の13年の米国株投資の経験では、リスク軽減をはかりながらリターンの最大化を目指し、
積極的なキャピタルゲインを獲得していく投資手法として、VTI+QQQが”最適解”と考えます。
【保存版】VTI+QQQ=最適解にて、詳細を解説しています。あわせてご参照ください。
インカムゲイン(分配金利回り)
高配当投資を行うあるい投資中の方にはキャピタルゲインだけではなく、インカムゲインも期待。
インカムゲインで注目すべきは「分配金利回り」と「連続増配」になります。
分配金利回りは株価によって日々変動しますが、平常時であれば以下の利回りで推移中。
SPYD | HDV | VYM | VIG | |
分配金利回り | 約4.5%〜6.3% | 約3.5%〜4% | 約2.5%〜3% | 約1.5%〜2% |
SPYDの分配金利回りは、インカムゲインを重視する方にとってやはり魅力的な水準。
SPYD | HDV | VYM | VIG | |
増配 | 2回 | 7回 | 11回 | 11回 |
減配 | 3回 | 2回 | 1回 | 1回 |
増配確率 | 2/5 | 7/9 | 11/12 | 11/12 |
上記は2010年からの4ETF連続増配の推移。注視すべきは、増配確率です。
SPYDは運用開始が2015年と歴史が浅く、これからの経過が気になるところですが、
現状では累積5回の分配金のうち3回を減配している結果となっているところは要確認。
他ETFよりもベース分配金水準が高めとはいえ、今後の増減が気になるところ。
SPYD・HDV・VYM・VIGボラティリティ比較
4ETFのボラティリティ(株価変動率)をチェックしていきましょう。
長期投資ではパフォーマンスの高さや保有経費などに加え、ボラティリティの把握に関しては、
アセットアロケーション及びポートフォリオの最適化を目指す上で必須の確認項目になります。

上記は約5年のSPYD、HDV、VYM、VIGのボラティリティ推移。
SPYD >> VYM > HDV > VIGの順にボラティリティが高くなっています。
SPYDのボラティリティが他3ETFと比較して高いことが明白の結果。
先述の通り、SPYDには景気敏感セクターの企業株式を多く含んでいることが起因しています。
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まとめ
SPYD、HDV、VYM、VIGの特徴について述べてきました。
4ETFとも素晴らしいパフォーマンスで米国株の底力がわかりやすく示されています。
どれを選択すればわからない方に向け、改めて目的別にまとめておくと以下の通り。
・分配金と値上がり益のバランスを重視される方:VYM
・値上がり益とおまけ程度の分配金を獲得していきたい方:VIG
4ETFとも致命的な課題はほとんどないのですがHDVについては、
優先的に投資を行う理由が見当たらないのが本音。決してHDVが悪いものではありませんので、
投資をされている方は安心して継続投資をされてください。インカムゲインを意識しつつ、
投資を開始したい方は、ぜひ米国ETFを利用して長期資産形成を進めていきましょう!
*投資活動は、あくまで自己判断でお願い致します。
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