こんにちは。甘鯛です。
今回は「米国株投資における一般消費財財セクターETFのVCR」がテーマです。
本記事は以下の読者様の課題解決にお役立てできる内容になっております。
・VTI、VOO、QQQ、VGTはよく聞くETFだけどVCRって一体何?
・VCR投資のメリット・デメリットはどのようなところ?
米国株投資を開始して間もない方では、
VCRが一体どのようなETFかイメージできない方も多いのではないでしょうか。
私自身も投資初心者の頃には、Vangard社がだしているよくわからないETFの印象でした。
しかし、知名度こそ低いものの、VCRは利用価値のある素晴らしいETFです。
Amazon、Tesla、McDonald’s、NIKE、Starbucksなど、私たちの生活にしっかり根づき、
米国を代表する世界規模の一般消費材セクター企業群を網羅していることに加え、
S&P500やVTI(全米株式)をアウトパフォームしていることも特筆すべきポイント。
私のポートフォリオのコアにしているVTIとの比較でVCRはひけをとらない魅力的な投資対象で、
両者でどれくらいのギャップが生じるのかに関心があり動向を追い続けています。
本記事では、全米株式を広くカバーする王道のVTIとの対比をすることで、
VCRの特徴をより鮮明にし投資メリット、デメリットを各所から解説していきます。
VCRの結論:長期投資でサテライト投資向き一般消費財セクターETF
早速ですが、本記事の結論から!
長期投資でVTI(あるいはVOO)をコアとし、VCRはサテライトにおすすめな投資対象。
VTI(全米株式)に関しては米国約4,000社に対して、
時価総額加重平均に沿って投資を行う最もオーソドックスな米国ETFの位置づけ。
VTI投資に関しては、【投資家必見】VTIをわかりやすく解説にて、VTI投資の醍醐味を解説。
コア投資に最適なETFなので、この機会にぜひご理解を深めてください。
【2022年最新版】VTIとVOO(S&P500)どっちが良い?徹底比較において、
コアにすべき投資対象であるVTIあるいはVOOの両者の違いを様々な切り口から考察。
いずれも王道をいく非常に素晴らしい米国ETFです。ぜひご確認してみてくださいね。
【保存版】VTI+QQQ=最適解では、VTIをコア、QQQをサテライトとする投資戦略を徹底解説。
約8年にわたり投資中。読者様の適切なポートフォリオ構築にお役立て頂ける必見の内容です。
以降では、米国投資の王道VTIと対照する形で、一般消費財セクターVCRを掘り下げていきます。
VCRの概要
そもそもVCRがどのようなETFかを解説。VCR(Vanguard Consumer Discretionary ETF)とは、
米国The Vanguard Group, Inc.,が運用・販売するETF。VCRの概要は以下の通りになります。
VCR | VTI | |
運用会社 | The Vanguard Group, Inc., | The Vanguard Group, Inc., |
ベンチマーク | MSCI US IMI ConsDiscretionary25/50 | Total Stock Market Index |
投資企業数 | 約300社 | 約4,000社 |
設定日 | 2004年1月 | 2004年1月 |
運用総額 | 566億$ | 2,756億$ |
分配金利回り | 約0.87% | 約1.24% |
経費率 | 0.10% | 0.03% |
VCRのベンチマーク「MSCI US IMI ConsDiscretionary25/50」については、
米国の一般消費財セクター企業を対象に、大型株、中型株、小型株に分類されています。
VTIのベンチマーク「Total Stock Market Index」ないの一般消費財セクターが抽出され、
四半期(3ヶ月に1度)の頻度で構成銘柄の選定・銘柄数・比率などの見直しがなされます。
上位組み入れ企業
VCR | 組入比率 | VTI | 組入比率 | ||
1 | Amazon.com Inc. | 20.99% | Apple Inc. | 5.60% | |
2 | Tesla Inc. | 13.59% | Microsoft Corp. | 5.30% | |
3 | Home Depot Inc. | 7.05% | Alphabet Inc. | 3.50% | |
4 | McDonald’s Corp. | 3.59% | Amazon.com Inc. | 3.20% | |
5 | NIKE Inc. | 3.45% | Tesla Inc. | 2.00% | |
6 | Lowe’s Cos. Inc. | 3.05% | NVIDIA Corp. | 1.70% | |
7 | Starbucks Corp. | 2.16% | Meta Platforms Inc. | 1.70% | |
8 | Target Corp. | 2.02% | Berkshire Hathaway Inc. | 1.10% | |
9 | Booking Holdings Inc. | 1.89% | JPMorgan Chase & Co. | 1.00% | |
10 | TJX Cos. Inc. | 1.63% | Home Depot Inc. | 0.90% |
上記はThe Vanguard Group, Inc.が公表している、
本記事執筆時点でのVCR・VTIの上位組み入れ企業の比較。強調すべき要点を整理していきます。
・VCRの現状でAmazon、Tesla、Home Depot 3社の組み入れ比率で約41%に及ぶ。
・現段階でのVCRの株価決定を左右するのは、約34%を占めるAmazon+Tesla次第。
上述の通り現時点のVCRの構成企業をみると、上位10社で約59%が占められており、
中でもAmazon+Teslaの構成比が突出して高い構成になっているのが明らかです。
逆にいえば、一般消費財セクターにおいてAmazon+Teslaクラスの巨大な時価総額企業が、
現在では次点で不在であることを意味します。VTIにおける2社の構成比をみれば偏重は明白。
一般消費財セクターについて
VCR | 組入比率 | VTI | 組入比率 | ||
1 | Internet & Direct Marketing Retail | 23.80% | Technology | 29.50% | |
2 | Automobile Manufacturers | 16.60% | Consumer Discretionary | 16.50% | |
3 | Home Improvement Retail | 10.30% | Industrials | 12.60% | |
4 | Restaurants | 9.10% | Health Care | 12.40% | |
5 | Hotels, Resorts & Cruise Lines | 5.80% | Financials | 11.10% | |
6 | Footwear | 4.10% | Consumer Staples | 4.40% | |
7 | General Merchandise Stores | 3.70% | Real Estate | 3.50% | |
8 | Automotive Retail | 3.50% | Telecommunications | 2.60% | |
9 | Apparel Retail | 3.50% | Utilities | 2.60% | |
10 | Apparel, Accessories & Luxury Goods | 2.60% | Basic Materials | 1.90% |
上記はVanguard Group, Inc.が公表している、
本記事執筆時点でのVCR・VTIの上位組み入れセクターになります。
VTIの2番目で位置づけらる一般消費財セクターに分類されるのがVCR。
VCRでは、一般消費財セクターが100%なので、ここでは細分領域を記載しております。
テクノロジーの次点で成長産業の一般消費材セクターへの投資に特化しており、
上位〜下位までの約300社に対して分散投資を行うETFとして設計されています。
EC、自動車、ホームセンター、外食、リゾート、アパレル、小売産業など、
一般消費財セクターを縦割りとして、不足なく包括的な投資可能なのが特徴。
全セクターのうちテクノロジーセクターに次いで2番目に壮大な一般消費材セクターに特化し、
幅広い投資対象としているVCRのポイントをおさえてましょう。
VCR投資のメリット
一般消費財セクターを広域にカバーするVCR投資のメリットを3つ整理していきます。
- 一般消費財セクターに特化し幅広くカバー
VCR投資の最大のメリットとしては、一般消費財セクターを効率良く投資可能な点。
例えばEV産業を新たにリードするTeslaの登場の一方、Amazon、McDonald’sなどのように、
我々の生活圏に”当たり前”を創りあげている企業も数多く含まれているのがVCRの魅力。
人間の生活をより豊かにする伸びしろの大きいイノベーティブな企業から、
既に馴染み深いオールドエコノミーを支える企業を広く網羅しているのがVCR投資の醍醐味。 - 堅調な成長が見込めるセクター
後述する株式のパフォーマンスの観点からみても、一般消費財セクターは、
他セクターと比較して競争優位性が高いことが歴史的に証明されています。
投資のバイブルであるジェレミー ・シーゲル著『株式投資の未来』では、
過去40年以上の長期で運用リターンが大きかったトップ3のセクターとして、
ヘルスケア、生活必需品、一般消費財の順に独自の研究から実証しています。
ただし、過去10年ではテクノロジー、一般消費財、ヘルスケアの順に変動しており、
一般消費財セクターの成長は一層、向上しているトレンドとなっています。
投資を行う際に、優先的に検討したいセクターであり中長期向きの投資対象。
- 経費率の低さ
経費率が0.1%と低めなのもVCR投資のメリット。例えば、投資対象が限られているので、
今回は取りあげませんが、同じく一般消費財セクターを扱うXLY(対象約60社)は、
経費率が0.12%。同様に一般消費財セクターETFのRXI(米国内外を含む対象約150社)は、
経費率が0.43%となっております。したがって、同類のETFの比較においてVCRは、
一般消費財セクターに属する企業の投資対象が最も多く、経費率が最も低いです。
長期投資を行う上で、投資対象の企業数、ラーニングコストについては、必須の確認事項。
いずれも、VCRはクリアしているので、長期投資の対象として適切であるといえます。
VCR投資のデメリット
VCR投資のデメリットを3つ取りあげていきます。
VCRに関しては致命的なところはありませんが投資を検討される上で、
このようなところに気をつける必要がある箇所をまとめておきます。
- 景気に左右されるシクニカルなセクター
VCR投資で最も注視すべき点は、景気に左右されやすい特性をもつあること。
次項でも言及しますが、景気が強い時は一般消費財セクターは強い動きをみせる反面、
景気後退のシーンで一般消費財セクターは弱い動きになる傾向。一般消費財セクターは、
自動車、リゾート、外食、アパレルなど、文字通り一般消費者向けの娯楽要素を含む分類。
下記の通り、生活必需品セクターやヘルスケアセクターなどとは動きが異なり、
景気後退時期には影響を受けやすいことをしっかり認識しておくことが求められます。

- 構成企業の比率にやや偏りがある
上記組入企業の項目で取りあげた通り、現段階でVCRの構成で約34%を占める、
Amazon+Teslaにやや偏重している印象。 VCRがベンチーマークとしている、
「MSCI US IMI ConsDiscretionary25/50」は時価総額加重平均型ではないものの、
時価総額の規模は構成比率において重要な決定要因です。よって、VCRは現状において、
Amazon+Teslaの株式変動に左右されやすい傾向であることを踏まえる必要があります。 - テクノロジーセクターとの比較
後述するパフォーマンス比較でも触れますが、近年で米国市場をリードし続ける、
テクノロジーセクターと一般消費財セクターのパフォーマンス比較では、
一般消費財セクターが若干劣っています。しかし、パーフォーマンス自体は素晴らしく、
実際にはVTI以上、QQQ未満の中間。ボラティリティ(株価変動率)の観点でも、
景気の影響を受けやすいシクニカルなセクターでありながら、テクノロジーセクター未満。
リスク・リターンから保有比率を逆算し、しっかり見極めていくべきといえます。
パフォーマンス確認
VCRの直近のパフォーマンスをチェックしつつ、
VTIと比較したパフォーマンス差とその背景、気になる点を解説していきます。
以降は本記事執筆時点の数値で収集のタイミングで異なりますので、その点をご了承ください。


約1年で比較すると、両者のパフォーマンスではVTIが優位。VCR:約2%に対して、VTI:約10%。
景気の影響を受けやすいシクニカルな一般消費財セクターの特質をわかりやすく示している結果。
現状では、FRBによるテーパリングや政策金利の引き上げ、長引くインフレ、
緊迫するロシア・ウクライナ情勢の地政学リスクなどの市場環境で特に影響を受けています。


約3年で両者を比較するとVCRの優位性が際立ちます。
VCR:約58%に対して、VTI:約76%と約18%のギャップ。
構成銘柄から検討すれば、VCRに多く含まれるTesla株(約13%)の進展により、
過去3年のVCRのパフォーマンスが向上している背景があげられます。


約10年で両者を比較すると、VCRの優位性がさらに際立つ結果。
VCR:約368%、VTI:約271%と約97%のギャップが生じています。


約18年で両者を比較しても、やはりVCRが優位。
VCR:約633%、VTI:約460%と約173%の大きなギャップ。
もちろん、過去は未来を保証するわけではありませんが、長期になればなるほど、
一般消費材セクターの底力を発揮。米国企業約4,000社を投資対象としている、
時価総額加重平均のVTIをしっかりアウトパフォームしているのは、注視すべき結果といえます。
また、同じく約18年の期間において、QQQも加えてチェックしてみましょう。
ご覧の通り、3つのETFないでテクノロジー企業群を最も多く含むQQQが圧勝する結果。

【攻めのETF】QQQをわかりやすく解説にて、
Nasaqに上場する上位100社の時価総額加重平均型ETFであるQQQをわかりやすく丁寧に解説。
マーケットを最もリードしているテクノロジーセクター企業群を多くんでいるのが特徴です。
メリット、デメリットを踏まえ長期投資にマストなETFと私は考えています。要チェック。
VCRのボラティリティ
VCRを判断していく上で、ボラティリティ(株価変動幅)についても要確認のポイント。
下記図は約5年のVTI、VCR、QQQのボラティリティの推移。
チェックすると、QQQ > VCR > VTIの順番にボラティリティが大きくなっています。

それぞれのETFの特徴を改めて整理しておきます。上からボラティリティの高い順。
・一般消費材セクターの約300社への投資対象であるVCR
・米国経済のほぼ全てをカバーし投資対象が約4,000社でセクターを問わないVTI
パフォーマンスの高さはボラティリティの高さに比例しているところは要チェック。
VTI(あるいはVOO)をポートフォリオのコア、VCRをサテライトに組み合わせることで、
ボラティリティおさえつつ、パフォーマンスの最大化を目指していくことをおすすめします。
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まとめ
以上より、VCRの特徴を述べてきました。
一般消費財セクターを広くカバーするVCRは、コンスタントにVTIをアウトパフォームしており、
将来に渡り着実な成長を期待できる優れたETF。特に、VCRは以下の方におすすめです。
・VTI(あるいはVOO)を上回る投資対象を選定したい
・VTI(あるいはVOO)投資をメインに行っておりサテライトとして投資対象を探している
一般消費財セクター投資の興味深いのは、馴染み深く私たちの生活に深く根ざしている、
企業のサービスや製品が多く存在していることも忘れてはいけません。アマゾン、スタバ、
マック、ナイキなどはもちろんですが、街でテスラ車を目にする機会も格段に多くなりました。
我々の生活に完全に定着ているお馴染みの企業から、これからの生活において”当たり前”を創り、
世界に向け発信していくポテンシャルがある企業を含んでいるのがVCR投資の素敵なところ。
景気動向に影響を受けやすい側面があるので、サテライト投資を前提でおすすめしますが、
長期投資を行う上で、有力な選択肢です。ぜひ皆様の投資判断のご参考にしてください。
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